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こんにちは!
ぽんコーチです!
絶好のチャンスボール!今だ!
と思ってアプローチを打ち、ネットに詰める。
ですが、相手は待ってましたとばかりに、こちらの動きを冷静に見ながら、簡単にパッシングショットで横を抜いていく…。
今のボール、悪くなかったはずなのになぜ?
そんな悔しい思いを何度も繰り返しているうちに、だんだん前に出るのが怖くなってしまいますよね。
実は、あなたが抜かれてしまうのは、コースやスピードだけの問題ではないかもしれません。
根本的な「アプローチで使うショットの選択」を見直すだけで、成功率は劇的に変わるのです。
この記事では、なぜあなたのアプローチが抜かれてしまうのか。
その原因を解明し、相手の強打を封じながら安全にネットを取るための具体的な戦術を徹底解説します。
この記事を最後まで読めば、ネットプレーへの苦手意識がなくなり、攻撃の引き出しが格段に増えるはずです。
シングルスで勝てるようになりたい方は、ぜひご一読ください!
「アプローチで抜かれる…」、トップスピンにこだわりすぎていませんか?
よし、チャンスボールだ!
そう思ってアプローチショットを打ってネットに詰めたのに、あっさりパッシングショットで抜かれてしまう…。
そんな経験、ありませんか?
結構良いボールが打てたつもりでも、簡単にカウンターを食らうと心が折れそうになりますよね。
もっと厳しいコースに、もっと速いボールを打たないと抜かれてしまう…
そう思って無理をした結果、ミスが増えてしまう。
もしあなたがそんな悪循環に陥っているとしたら、少しだけ考えてみてください。
もしかして、トップスピンのアプローチにこだわりすぎていない?
と。
もちろん、トップスピンは威力もスピードも出るので、上手くいけば一撃でエースになる強力なショットです。
ですが、アプローチは必ずしもトップスピンで打つ必要はないんです。
実は、多くの人が抱えるその悩みを解決してくれる、もっと安全で効果的な選択肢があります。
【対策】シングルスのアプローチは「ストレートへのスライス」が新常識
その悩みを解決する答えは非常にシンプルです。
それは、
ストレートに、スライスでアプローチする
ということです。
クロスに打つ方が相手を追い込めるんじゃ?
え、スライス?守りのショットじゃないの?
そう思った方もいるかもしれません。
ですが、この「ストレートへのスライス」こそが、アプローチの成功率を劇的に上げ、あなたのネットプレーを次のレベルへ引き上げてくれる鍵なのです。
まずは「なぜストレートなのか」、次に「なぜスライスなのか」を順番に解説していきますね。
なぜコースは「ストレート」が有効なのか?
アプローチのコースとして、なぜクロスではなくストレートが推奨されるのでしょうか。
それは、ストレートに打つことで、相手がパッシングショットを打てる角度を狭くできるからです。
ネットプレーに対して、相手はパッシングショットを狙ってきます。
あなたがアプローチを打つコースがストレートなのかクロスなのかで、相手が狙えるコースは大きく変わります。
結論から言うと、ストレートにアプローチすることで、あなたが守るべき範囲が最小限になり、相手にプレッシャーをかけることができるのです。
このコース取りの理論については、僕が以前書いたこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ「スライス」がアプローチに有効なのか?
ストレートが良いのはわかった。でも、なんでトップスピンじゃなくてスライスなの?
その最大の理由は、「自分は楽ができて、相手が苦しくなるから」です。
トップスピンでのアプローチが上手くいかなかった人でも、スライスに変えるだけで、驚くほど簡単にネットプレーを成功させられるようになります。
もちろん、すべてのアプローチをスライスにすれば良い、というわけではありません。
頼りすぎると相手にも慣れられてしまいますからね。
ですが、戦術の引き出しとして持っておくと、非常に有効なショットであることは間違いありません。
僕自身も試合でスライスアプローチを多用していますし、プロの世界でも、往年の名選手である鈴木貴男プロや、”テニスの皇帝”ロジャー・フェデラー選手が、このスライスアプローチを武器に数々のポイントを奪ってきました。
では、具体的にスライスにはどんなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
ディフェンスだけじゃない!アプローチにスライスを使う3つのメリット
「スライス=守備」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、アプローチで使うスライスは、非常に攻撃的なショットに変わります。
メリット1:打ちながらスムーズに前に出ることができる
トップスピンとスライスのアプローチの決定的な違い、それはフォロースルーにあります。
トップスピンを打つ時、僕たちは
- テイクバック
- 足を止めてタメを作る
- ボールを打つ
- フォロースルーで腰をひねる
- ひねった腰を戻す
- 動き出す
というように、一度動きを止めて体を回転させるため、どうしても動き出しにタイムロスが生まれます。
一方でスライスは、ボールに対してラケットを前に押し出す動きなので、体をひねる必要がありません。
- テイクバック
- ボールを打つ
- そのままの勢いで前に動き出す
というように、スライスは一連の動作の中でスムーズにネットへ詰めることができるのです。
特にスライスが得意な選手は、クロスステップ(キャリオカステップ)を使いながら、流れるような体重移動で打っていきます。
「打ってから走る」のではなく、「走りながら打つ」。
この違いが、ネットに到達するまでの時間を大きく短縮してくれるのです。
メリット2:スライスは滞空時間が長くて前に出る時間を稼げる
まず前提として、スライスはトップスピンに比べてボールのスピードが遅くなります。
その上で、ボールにかかった逆回転(バックスピン)が揚力(ようりょく)を生み出し、ボールが空気中を滑るように飛んでいくのです。
純回転で落ちるトップスピンと違い、スライスは落ちずに「スーッ」と進むイメージです。
この「球速が遅い」ことと、「揚力によってボールが浮くように進む」という2つの要素が合わさることで、ボールが相手コートに到達するまでの時間が長くなります。
つまり、スライスは滞空時間が長いのです。
あなたがネットに詰めることができるのは、「自分が打ってから、相手が打ち返すまでの間」だけ。
相手が打つ瞬間には、スプリットステップを踏んで動きを止めなければなりません。
滞空時間が長いということは、それだけあなたがネットに詰めるための「時間的余裕」が生まれるということ。
このコンマ数秒の余裕が、万全の体勢でボレーをするための大きなアドバンテージになります。
ボールがゆっくりだと相手に追いつかれるんじゃない?
と思うかもしれません。
その通りです。
ですが、忘れないでください。
アプローチの目的は
「一発でウィナーを奪うこと」
ではなく、
「次のボレーやスマッシュで決めること」
です。
相手に追いつかれても全く問題ありません。
むしろ、相手を動かして打たせることに意味があるのです。
メリット3:低く滑るため、相手は強打できず叩かれない
スライス最大の武器、それは「バウンド後にボールが滑る」という特性です。
トップスピンで打ったボールは高く弾むため、相手にとっては打ちやすい高さに来てしまい、強打されるリスクがあります。
しかし、スライスで打ったボールは、バウンド後に高く弾まず、地面を這うように滑っていきます。
すると、相手はネットよりも低い打点でボールを打たされることになります。
低いボールを強打しようとすれば、当然ネットにかかるかアウトするだけ。
相手はボールを持ち上げるように、スピンをかけて返球するしかありません。
つまり、スライスでアプローチするだけで、相手の強打を封じ、パッシングで一撃で抜かれるリスクを大幅に減らすことができるのです。
スライスでのアプローチを成功させる3つの注意点
ここまでスライスのメリットを解説してきましたが、もちろん注意点もあります。
これを怠ると、せっかくのスライスがただのチャンスボールに変わってしまうので、しっかり頭に入れておきましょう。
注意点1:スライスは浅くなってはいけない
最もやってはいけないのが、スライスが浅くなってしまうことです。
浅いスライスは、カウンターで抜かれる絶好のチャンスボールになってしまいます。

理由は2つあります。
まず、ボールが浅いとあなたと相手の距離が近くなるため、相手が打ったボールがあなたを通り過ぎるまでの時間が短くなります。
そしてもう一つの理由は、浅いボールは角度をつけやすいため、あなたが手を伸ばしても届かないワイドなどを簡単に狙われてしまうことです。
深くコントロールされたスライスは武器になりますが、浅いスライスはただの絶好球。
サービスラインとベースラインの中間あたりを狙って、しっかり深く打ち込むことを意識しましょう。
注意点2:スライスが浮いてはいけない
次に注意すべきは、スライスが浮いてしまうことです。
ボールがフワッと浮いてしまうと、
「弾まない・滑る」
というスライス最大のメリットが完全に消えてしまいます。
浮いてしまったスライスは、相手にとって絶好の叩きやすいチャンスボール。
しかも、あなたはアプローチのために前に出ているわけですから、まさに「ピンチの二重苦」状態に陥ってしまいます。
低く、滑らせる。
これを徹底してください。
注意点3:打った後に前に出ることを躊躇してはいけない
最後に、技術的なこと以上に大切なのがメンタルの部分です。
それは、打った後に前に出ることを躊躇しないこと。
今までトップスピンでアプローチしていた人ほど、
こんなにゆっくりで、本当に抜かれないだろうか…
と不安になって、足が止まりがちです。その気持ち、すごくよく分かります。
ですが、その躊躇が一番の命取り。
中途半端な位置で立ち止まってしまうと、相手はあなたの足元に沈めるショットを狙いやすくなります。
そして何より相手にプレッシャーがかかりません。
相手が打つ瞬間までにネット近くで構えられているだけで、相手は
コースが狭いな…
とプレッシャーを感じ、ミスをしてくれる確率が上がります。
自分を信じて、迷わず前に詰めましょう。
その勇気が、成功率を大きく左右します。
【応用編】決定力を上げるためにスライスにサイドスピンを加える

さて、ここまで解説してきた基本のスライスアプローチをマスターするだけでも、あなたのテニスは大きく変わるはずです。
ですが、もしあなたが「もうワンランク上の決定力が欲しい!」と思うなら、ぜひ挑戦してほしい応用技術があります。
それが、スライスに「サイドスピン(横回転)」を加えることです。
スライスアプローチは非常に有効ですが、一つだけ弱点があります。
それは、ボールの滞空時間が長い分、相手に「あなたを観察する余裕」を与えてしまうこと。
上手い相手ほど、ボールが飛んでくる間にあなたのポジションを確認し、
「あそこが空いているな」
と冷静にパッシングのコースを狙ってきます。
しかし、ここにサイドスピンが加わると話は一変します。
サイドスピンがかかったスライスは、バウンドした瞬間にボールの軌道がわずかに横へ変化します。
相手からすれば、予測していた打点からボールが少しだけ「逃げる」のです。
相手はボールが飛んでくる間にあなたを観察している、ということは、一瞬ボールから目を離していますよね。
そのため、この微妙な軌道変化に対応できず、スイートスポットで捉えきれなくなります。
結果、相手は体勢を崩されたり、フレームショットになったりと、質の高いパッシングが打てなくなるのです。
そうなれば、あなたがパッシングで抜かれる危険性は激減し、返ってきた甘いボールを悠々と決めることができます。
これはかなり高度なテクニックですが、習得すれば相手にとってこれ以上なく嫌なアプローチになることは間違いありません。
まとめ:スライスアプローチで攻撃の幅を広げ、シングルスの勝率を上げよう
以上、シングルスでアプローチが抜かれてしまう悩みを解決する「ストレートへのスライスアプローチ」について解説しました。
トップスピンに頼りがちだったアプローチを見直し、スライスという選択肢を加えるだけで、あなたの攻撃の幅は驚くほど広がります。
スライスは、打ちながらスムーズに前に出ることができます。
ボールの滞空時間でネットに詰める時間を稼ぎ、さらに低く滑るボールで相手の強打を封じるといった、ネットプレーに最適なメリットが詰まったショットです。
今まで
「自分はネットプレーが苦手だ…」
と思っていた人でも、試合の主導権を握るための新しい強力な武器になるはずです。
もちろん、すぐに完璧に打つのは難しいかもしれません。
まずは普段の練習で、チャンスボールが来たら「ストレートに、深く滑らせるスライスでアプローチしてみる」ことから試してみてください。
きっと、今までとは全く違う景色が見えてくるはずです。
この新しい武器で、シングルスの勝率をぐっと引き上げましょう!
テニス戦術ラボ 