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こんにちは!
ぽんコーチです!
ダブルスの試合、必死に返したリターンが、ことごとく相手前衛のポーチに捕まってしまう…。
相手のサービスゲームを全くブレークできる気がしない。
ポーチが怖くて、ついロブで逃げてしまう。
何より、「また自分のせいで…」とペアに申し訳ない気持ちになる。
こんな悔しい経験、あなたにもありませんか?
大丈夫です。
この記事では、そんなあなたの悩みを解決します。
もう相手前衛の動きに怯える必要はありません。
ポーチを恐れるのではなく、相手の動きを読んで逆手に取り、リターンで主導権を握るための具体的な戦術と考え方をお伝えします。
この記事を読めば、リターンがあなたの武器に変わります。
さあ、次の試合から相手のサービスゲームをどんどんブレークしていきましょう!
なぜあなたのリターンは相手前衛にポーチされてしまうのか?
大前提:ダブルスはサーバーが圧倒的に有利なゲームである
まず大前提として、テニスは「サーバーが圧倒的に有利」なスポーツです。
なぜなら、サーブは唯一、相手の影響を受けずに自分の好きなタイミング・体勢で、ネットより高い位置からボールを打てるショットだから。
そして、ダブルスではその有利さがさらに加速します。
最大の理由は、ネット前にいる「前衛」の存在。
リターンが少しでも甘くなれば、待ってましたとばかりに前衛が動き出し、鋭いポーチでポイントを奪っていきます。
さらに、リターンを打てるコースも限定されるため、常に相手前衛を警戒しながら、狭いコースを狙わなければならない。
このサーバー有利という原則を理解することが、全てのスタートラインになります。
ポーチの餌食になるリターンの3つの特徴
リターンがポーチされる最大の原因、それはボールのスピードが遅いことです。
なぜなら、相手前衛に「後出しジャンケン」をさせてしまっているから。
あなたの打ったリターンがゆっくり飛んでいく間、相手前衛はじっくりボールを観察する時間を手に入れます。
あなたが「グー」を出したのを見てから、悠々と「パー」を出すように。
これでは、相手に「どうぞ、決めてください」とボールを差し出しているようなものです。
スピードのあるリターンは、相手からこの「見る時間」を奪います。
相手に考える暇を与えない、それがリターンにおけるスピードの役割です。
次に気をつけたいのが、ボールの軌道です。
高すぎるロブは別ですが、一番やってはいけないのが「中途半端な高さ」のリターン。
具体的には、相手前衛の顔のあたりからラケット1本分上くらいの高さ。
この高さは、ボレーヤーにとって一番力が入り、コースも狙いやすい「ゴールデンゾーン」なんです。
「パコーンっ」という気持ちのいい音と共に、ボールが自分の足元に突き刺さる…。
あの絶望感は、まさにこの中途半端な高さのリターンが作り出しています。
「絶対にミスしたくない…」

リターンの時、そんなディフェンスへの意識が強くなっていませんか?
「まずは、相手の後衛(サーバー)にしっかり返そう」 その真面目な気持ちが、実は相手前衛を助けてしまっています。
あなたがクロスにしか返さないと分かっていれば、相手前衛はどう動くでしょう?
答えは簡単。
ストレートケアを一切捨てて、安心してポーチに出られるのです。
あなたの意識が、相手の動きをアシストしてしまっているわけです。
「でも、毎回コースを打ち分けるなんて難しい…」 そう思いますよね。
でも、大丈夫。
毎回コースを変える必要はありません。
大切なのは、「ストレートもあるぞ」と相手に思わせること。
例えば、リターンに入る前にチラッとストレート方向に目線を送る。
あるいは、ストレートに打つフリをして素振りをする。
たったこれだけでも、相手前衛の頭に「ん?ストレートも来るかも…?」という迷いが生まれます。
その一瞬の迷いが、ポーチへの一歩を遅らせるのです。
まずは「クロスに返すのが当たり前」という意識から、柔軟な思考に変えていきましょう。
まずは意識改革から!「ポーチされるのが当たり前」と考える
「またポーチされた…」 コートに突き刺さるボールを見て、思わず下を向いてしまう。

あの瞬間、本当に心が折れそうになりますよね。
でも、ここで一つ、大事な意識改革をしましょう。
何度も言うように、ダブルスはサーバーが圧倒的に有利。
そして、サーバー側のペアが一番やりたいこと、それは「短いラリーで、リズムよくポイントを取ること」です。
そのための最強の武器が、前衛のポーチなのです。
つまり、相手からすればポーチは「狙って当然」の一手。
あなたがポーチされるのは、相手がセオリー通りの良いプレーをしている証拠でもあります。
だから、ポーチされるたびにいちいち落ち込んだり、ペアに謝ったりする必要は全くありません。
「やられたら、仕方ない!」 まずはこうやって気持ちを切り替えるメンタルが、ダブルスでは何より大切です。
ただし、「仕方ない」で済ませてはいけないケースもあります。
それは、同じゲームで、何度も、同じようにポーチをされるとき。
もし相手が何の迷いもなく、いとも簡単にあなたのリターンをポーチしてくるなら、それは「あなたのリターンが単調になっている」という危険信号です。
相手にコースを完全に読まれ、カモにされてしまっているのかもしれません。
そんな状況を打破するために必要なのが、リターンの「引き出し」を増やすこと。
ここから、相手前衛にポーチされないための具体的な戦術を見ていきましょう。
【本題】相手前衛にポーチされないための7つのリターン戦術
ここからは、相手前衛の動きを止め、ポーチさせないための具体的なリターン戦術を7つ紹介します。
すべてを一度にやろうとせず、まずは「これならできそう!」と思えるものから試してみてくださいね。
戦術①:ポジションを前に!時間と角度を奪うブロックリターン
ポーチを防ぐために、まず試してほしいのが「リターンポジションを前にする」ことです。
ベースラインの内側、時にはサービスラインの近くまで入って、相手のサーブを壁のようにブロックして返す「ブロックリターン」。
これが非常に有効です。
理由はとてもシンプル。
リターナーと相手前衛との距離が、物理的に短くなるからです。
距離が短くなれば、ボールが相手に届くまでの時間も当然短くなります。
つまり、相手前衛がポーチに出るための反応時間を、極限まで奪うことができるのです。
さらに、相手の速いサーブの威力をそのまま利用できるので、自分はラケットを合わせるだけで、楽に力強いリターンを打てるというメリットもあります。
ただ、このブロックリターンは、通常のベースラインからのリターンに比べて難易度が上がります。
なぜなら、前に立つ分、自分自身がサーブに反応する時間も短くなるから。
大きなスイングはできず、ラケット面を正確に合わせる、非常に繊細なコントロールが求められます。
少しでも面が狂えば、ボールはネットに突き刺さるか、大きくアウトしてしまうでしょう。
だからこそ、この戦術は練習なしのぶっつけ本番では通用しません。
普段の練習から、意識的にブロックリターンを取り入れてみてください。
戦術②:ネットすれすれを狙う!相手に触らせない超低空フラットドライブリターン
ポーチをさせないための攻撃的な一手、それがネットすれすれを突き刺すような「超低空フラットドライブリターン」です。
このリターンがなぜ有効なのか?
一度、あなたが相手前衛の立場になって考えてみてください。
まず、フラットドライブなのでボールは鋭く、直線的に速く飛んできます。
そんなボールをボレーするだけでも難しいですよね。
さらに、そのボールがネットすれすれの低い弾道で飛んでくる。
ボレーヤーはネットの白帯と同じくらいの、非常に低い打点でボールを触ることになり、こう考えます。
「ネットミスしたくないから、少し持ち上げて返そう…」
でも、ボールには威力があるため、持ち上げようとした瞬間にラケット面が押されてしまい、ボールは無情にもアウト。
「じゃあ、そのまま合わせるだけだと…」
今度はボールがネットに突き刺さる。
おまけに、ネットインになる可能性だってあります。
相手にとっては、まさに悪夢のようなリターンなのです。
ただし、相手にとって難しいボールは、自分にとっても難易度が高いもの。
このショットを安定して打つには練習が必要です。
成功させるコツは、ボールをラケットで「押す」感覚で打つこと。
ボールを叩くのではなく、インパクトからフォローするにかけて、ラケット面にボールを長く乗せて運んであげるイメージです。
この感覚が、威力とコントロールを両立したフラットドライブを生み出します。
戦術③:トップスピンで沈める!相手前衛の足元を狙うスピンボール
この「トップスピンで沈めるリターン」は、いつでも使えるわけではありません。
例えば、あなたが打ったロブを警戒して、相手前衛がネットから少し離れて構えている時。
そんな状況でこそ、この戦術は絶大な効果を発揮します。
なぜなら、トップスピンをかけたボールは、相手前衛の足元で「ググッ」と沈むから。
これにより、相手は苦しい体勢でのローボレーを強いられることになります。
ボレーヤーにとって、足元のボールほど嫌なものはありません。
ネットミスを恐れてボールを持ち上げれば、山なりのチャンスボールが返ってくる。
かといって、そのまま合わせようとすればネットに一直線。
どちらにせよ、リターン側にとって有利な状況が生まれるのです。
速いフラットドライブで相手の時間を奪うのとはまた違う、コースと回転で相手を崩すクレバーな戦術と言えるでしょう。
戦術④:ポーチさせない高さを通す!安全なエッグボールリターン
「それって、ただのロブと何が違うの?」 そう思われるかもしれませんね。
しかし、このエッグボールは守りの選択肢であるロブとは全くの別物です。
ロブは相手の頭上を大きく越す、時間を作るためのディフェンシブなショット。
そのため、相手後衛に追いつかれて強打されるリスクが常に伴います。
一方、エッグボールは「相手前衛を無視して、サーバーとラリーを始める」ための、より攻撃的なショットです。
相手前衛のラケットがギリギリ届かない高さを、強いトップスピンをかけて通していく。
ボールは失速しないので、相手後衛に簡単に打ち込まれるリスクも低いのが特徴です。
相手前衛からすれば、ポーチに出ようと動いた自分の頭上をボールが通過していくのに、手が出せない。
非常に嫌なリターンと言えるでしょう。
ただし、このエッグボールにも注意点があります。
それは、サーバーがサーブ&ボレーで前に詰めてくる相手には使えないということ。

サービスダッシュしてくる相手にこのボールを打ってしまうと、ネットに詰めてくる途中の相手にとって、格好のスマッシュボールになってしまいます。
相手がベースラインでラリーをするタイプのペアなのか、それとも平行陣を積極的に狙ってくるペアなのか。相手の陣形をよく見て使うことが重要です。
戦術⑤:出られないように釘を刺す!相手前衛のボディを狙うリターン
相手前衛のポーチが気になって、ついサイドラインぎりぎりの厳しいコースを狙っていませんか?
もちろん、そこを綺麗に抜ければ最高ですが、速いサーブに対して針の糸を通すようなショットを打つのはとても難しいことです。
そこで、もっとシンプルで効果的な戦術が「相手前衛のボディ(体)を狙う」リターンです。

もし相手がポーチに動けば、もともと相手がいた場所、つまりセンター付近がガラ空きになります。

そこを目掛けて打てば、簡単に相手を抜くことができます。
では、相手が動かなかった場合はどうでしょう?
それでも、このボディ狙いは有効です。
なぜなら、自分の体に向かってくるボールは、ボレーヤーにとって死角となり、非常に窮屈で合わせにくいから。
まず、一発で決められることはないでしょう。
そして、この戦術の最大のメリットは、相手の動きに釘を刺せること。
一度でもボディに速いリターンを打っておけば、相手前衛の頭には「次も来るかもしれない…」という意識が植え付けられます。
その一瞬の迷いが、積極的なポーチへの出足を鈍らせるのです。
サイドを抜くスーパーショットを狙うより、まずは相手にぶつけるくらいの気持ちでボディを狙う。
その方がよっぽど簡単で、相手にプレッシャーを与えられます。
戦術⑥:相手の動きを逆手に取る!「取られる前提」で次の動きを準備する
「相手のサーブが良すぎて、何もできない…」
これまで紹介した戦術を試す余裕すらない。
そんな絶望的な状況、ありますよね。
そんな時にこそ試してほしいのが、この「ポーチされる前提」で動く、守りの戦術です。
まず、ペアのパートナーにお願いしましょう。
「ポーチされるから、少し下がってカバーしてほしい」と。

これだけで、相手のポーチボレーに対する守備範囲がぐっと広がります。
そして自分自身は、リターンを打った瞬間、意識を完全に「守り」に切り替える。
相手がポーチで打ってくるボールを、何が何でも拾うんだという強い意志で集中します。
「ポーチが来るぞ」と分かっていれば、いざ打たれても慌てることはありません。
むしろ、「よし、来た!」と冷静に対応できるはずです。
これはポイントを取りにいく戦術ではなく、失点を防ぎ、相手の勢いを止めるための、いわば粘りの戦術。
相手に気持ちよくプレーさせないためにも、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
戦術⑦:相手前衛の頭上を越す!基本のロブリターン
最後は、基本でありながら奥が深い「ロブリターン」です。
狙うコースは、相手前衛の真後ろです。

なぜなら、ボレーヤーにとって、真後ろに下がりながらスマッシュを打つのは非常に難易度が高いから。
体勢が崩れやすく、強いボールを打つことができません。
さらに、相手後衛もカバーのために動く必要が出てくるため、強力な3球目攻撃をされる可能性も低くなります。
また、ロブは試合の展開を意図的に遅くできるというメリットもあります。
相手にリズムよくポイントを連取されている時など、流れを変える一手としても有効です。
ただし、このロブリターンには大きな注意点が2つあります。
まず、ロブばかりに頼らないこと。
正直なところ、サーバー側にとってロブを打たれること自体に怖さはありません。
あくまで数ある選択肢の一つとして、ここぞという場面で使うからこそ効果があるのです。
そしてもう一つが、相手に意図を読まれないこと。
最初から「ロブで逃げます」という構えでは、相手に簡単に対処されてしまいます。
あくまで力強いリターンを打つフリをして、相手を騙さなくてはいけません。
リターンに入る前にストロークの素振りをしてみる。
しっかりと打つ時と同じように構える。
そうした工夫一つで、相手はあなたの次のショットが読めなくなります。
たまに使うからこそ、意表を突く一打になるのです。
これはNG!ポーチを誘発するやってはいけないリターン3選
さて、ここまではポーチされないための「引き出し」を解説してきました。
逆に、良かれと思ってやったことが、実は相手のポーチを誘発してしまっているケースもあります。
ここでは、そんな「やってはいけないNGリターン」を3つ見ていきましょう。
NG例①:とりあえず繋ぐだけの「スライスリターン」
「速いサーブだから、とりあえずスライスで当てて返そう…」
安全策のつもりでスライスリターンを使っていませんか?
実はそれ、相手前衛に「どうぞポーチしてください」とボールを差し出しているようなものなんです。
理由は主に2つあります。
第一に、ボールのスピードが遅くなるから。
スライス回転がかかったボールは、そもそも球速が遅くなります。
これは相手前衛に、ボールをじっくり見てから動く余裕を与えてしまうことに他なりません。
第二に、テイクバックの時点でバレバレだから。
相手は「あ、スライスが来るな」と完全に予測できてしまいます。
もちろん、それを逆手にとって、ポーチに出た相手の裏をかくストレートへのパッシングショットを狙う高等戦術もあります。
しかし、それは成功率の低い賭けのようなもの。
基本的には、安全策のつもりのスライスリターンこそ、最も危険な選択肢の一つだと覚えておいてください。
NG例②:恐怖心からくる「ベースライン後方でのリターン」
相手のサーブが速いと、恐怖心からついベースラインの後ろに下がりたくなりますよね。
確かに、サーバーとの距離が遠くなる分、ボールに反応する時間は生まれるので、リターンミス自体は減るかもしれません。

しかし、それは大きな落とし穴です。
あなたが後ろに下がれば、当然リターン位置から相手前衛までの距離も遠くなります。
これは何を意味するでしょうか?
そう、あなたが返したボールが相手前衛に届くまでの時間が長くなり、相手にポーチに出るための十分な時間を与えてしまうのです。
時間と空間の余裕を得た相手前衛は、あなたのリターンをじっくり見てから、最も効果的なコースに動いてポーチを決めることができます。
リターンミスは減るかもしれない。
でも、ポーチされる確率は格段に上がってしまう。
ダブルスにおいて、リターンで大きく下がるという選択は、まさにサーバー側の思う壺なのです。
NG例③:相手にバレバレの「見え見えロブ」

「やばい、とりあえずロブで逃げよう…」 その気持ち、相手に透けて見えていませんか?
相手前衛は「こいつ、ロブを上げるな」と察知した瞬間、スッと後ろに下がってスマッシュの準備を始めます。
そうなれば、簡単にスマッシュを叩き込まれるか、それを嫌って深く狙いすぎたボールがアウトになるか。
バレバレのロブは、ただピンチを招くだけです。
では、なぜバレるのか?
最初からラケットをコンチネンタルグリップで握っていたり、明らかに打つ気のない弱々しい構えをしていたり。
そうした準備段階で、あなたの意図は相手に筒抜けになっています。
ロブを有効な戦術にするには、「演技力」が重要です。
あくまで力強いリターンを打つフリをして、相手を騙さなくてはいけません。
リターンに入る前にストロークの素振りをしてみる。
しっかりと打つ時と同じように構える。
そうした工夫一つで、相手はあなたの次のショットが読めなくなります。
そして、ロブを多用しすぎないこと。
たまに使うからこそ、意表を突く一打になるのです。
まとめ:リターンの選択肢を増やして、相手前衛を迷わせよう!
今回は、ダブルスのリターンで相手前衛にポーチされないための具体的な戦術について解説しました。
ポーチを100%防ぐ魔法のショットはありません。
大事なのは、相手前衛を「迷わせる」ための選択肢(引き出し)を、あなたがどれだけ持っているかです。
前に出て時間を奪うブロックリターン、足元に沈めるスピンボール、意表を突くロブやボディ狙い。
これらの引き出しを状況に応じて使い分けることで、相手は安易にポーチへ出られなくなります。
あなたのリターンが単調でなければ、相手は必ず迷います。
その一瞬の迷いが、あなたのチャンスになるのです。
何から始めればいいか分からない、というあなたは、まず今回紹介した7つの戦術の中から、「これならできそう!」と思えるものを一つだけ選んで、次の練習で試してみてください。
その小さな一歩が、これまであなたを苦しめてきた相手前衛の脅威を激減させる、大きなきっかけになるはずです。